屋久島紀行(13) -巨樹ガジュマルの話-

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-巨樹ガジュマルの話-
 だんだんと森が深くなってくる車が停まった。
道の脇に車を停め、ぼくらは森のなかに入っていくことになった。
ぼくはまだこの先に何があるのか教えてもらえれいない。
 「ジブリとか好き? だったら相当興奮すると思うよ」
 その先にあるもののヒントといえばその言葉だけだった。
 道は悪く、それはほとんど見えなかったが、ぼくらはぐんぐん斜面を下っていった。
ときどき住居の跡のようなものが目に入ってくる。
今では人っ子ひとり暮らしていない無人地帯である。
 しかし昔は誰かがここに集落を作って暮らしていたのかもしれない。
あるいは神社のようなものがあったのかもしれない。
Sさんたちは、
 「家があったのならもう少し形跡があると思うから、違うかもしれない」
という意見も言っていた。
 平坦にされた何かの跡地には神秘的な空気があった。
 だいぶ下ってきたかな、と思うと回りにガジュマルの木が目立ち始めた。
大きな岩に根を下ろした奇妙なガジュマル。
ただでさえ奇妙な木なのに大岩の上に立っていると余計に奇妙だ。
そして、そのガジュマルの先に大変なものがあった。
彼らはこれをぼくに見せようとしていたのだ。
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巨樹ガジュマルの内部。
 そこにはさっきよりもはるかに大きな岩の上に何百もの気根を垂らしている
巨大なガジュマルが立っていた。
 見上げるとどこがてっぺんなのかよくわからない。
見渡そうとするとその全貌が見えないほどに太いことだけがわかる。
まるで宮崎駿の映画の世界そのものだ。
今まで巨大なガジュマルはトカラ列島でたくさん見てきたが、
これほど迫力のあるガジュマルを目の当たりにするのは初めてのことだった。
 写真に収めようとしてもそんなことはとても出来やしない。
おそらく樹高や幹周を数値化するとたいへんな数が弾きだされるのだろうが、
そんな数字をもってしてもとてもこの大きさを表現することには及びもつかないだろう。
とにかく、とにかく大きかった。
 まるで子どもにかえったようにSさんがガジュマルの気根にしがみついて木登りを始めた。
ぼくもそれにならって上に行く。
その気根の間はちょうど空間ができていてガジュマルの中に入ることができるようになっていた。

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巨樹ガジュマルの内部の様子。
気根に気根が垂れて、それらがからみつき、なんだか大変なことになっている。
 また、気根そのものが垂直ではなく傾斜をもっていたために簡単に登ることができた。
そして、ガジュマルの中にはさらに驚くべき光景が待っていた。
まるでガジュマルのなかにガジュマルが生えているような、そんな混沌とした光景があったのだ。
 しかしそこにあるのは複雑に絡まったガジュマルの幹だけ。
ときどきはオオタニワタリのようなシダ類が張り付いているが、
基本的にはガジュマルしか存在しない。
まさか屋久島という小さな島でこんなに大きなガジュマルに出会えるとは。
しかもそのガジュマルのなかにまたガジュマルの森があるとは。
とにかく想像を絶する光景があった。
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(次回は2日めの紀行文です)
(つづく)
撮影機材:OLYMPUS E-3 + ZUIKO Digital ED 9-18mm F4.0-5.6

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