屋久島紀行(17) -トロッコ道を歩こう-

-トロッコ道を歩こう!-
 森の中に溶け込んだかのようなわかりづらい道をひたすら進んでいくと辻の岩屋に着いた。
屋久島の地図を見ると岩屋が多くて驚くのだが、実際の岩屋は想像以上の大きさがあった。
花崗岩だろうか、巨大な岩が重なってその下にちょうど人が泊まれるような空間ができている。

しばらく歩いた後、目の前が急に開け、次いで森林軌道が目に飛び込んだ。

いわゆる「トロッコ道・トロ道」だ。

ついにトロッコ道まで出ることができた!


この線路の上を歩くのに憧れ、この道の先にある縄文杉に憧れて屋久島にやってきた。
森林軌道は歩き良い道だということもあって急に元気が出てくる。
すると、待っていたかのように頭上に太陽と青い空が見えた。

暗く歩きにくい道での憔悴はどこえやら。
濡れた苔や葉が森の隙間から差し込んでくると水滴が反射してキラキラと輝く。
ぼくは歩くのが楽しくてしかたなくなった。

が、そんなことを考えているうちに空はもう以前と同じようになってしまった。
やっぱり屋久島の山の天気は侮れない。

一瞬だけ注いだ木漏れ日。
この瞬間だけは本当に幸せだったのに…。


 森林軌道を歩き始めるとある変化に気付いた。人が多いのである。
さっきまで誰一人いない静かな静かな森を孤独に歩いていたことが嘘のように大勢の人がいる。
どうも違和感がある。

ぼくはなるべく人に会わないようにわざわざ平日を狙ってきたのに。
しかもこんなに雨が降っているのに。

時々ツアー客らしい団体を見かけることもある。

これは…完璧に観光地だ。

 森林軌道のなかには橋がかかっている場所もあり、そこから眺める沢の流れはきれいだった。
特に渓谷に枝を伸ばしている紅葉した木々が印象的な道のりだった。

平坦な道を軽快に進んでいくと突然人が大勢集まっている場所があった。
こんな山奥にこんなにたくさんの人が…
言ってみれば山の中に似つかわしくない現代機械を目撃してしまったような気分である。
何が起きたと言うのか。

橋を渡るとき、たまに見える沢の流れ。
11月に訪れるときれいな紅葉を見ることも。


よくよく見るとその手前から大株歩道が始まっているのだった。
そしてその奥にはこれまた不自然に立派な公衆トイレが建てられている。

2階建てになっているので余計に目立ったのだが、これは1階部分に浄化槽を設置しているため。
自然にインパクトを与えないように配慮されたいわゆる「バイオトイレ」である。

しかし、そんなに早い処理ができない施設のはずなので、
毎日こんなに大勢のし尿を処理することなんてできるのだろうか、とやや心配が残る。
まあ、無いよりはマシだろう。

トイレ問題といえば以前、大学の特別広義で女性初のエヴェレスト登頂を果たした
田部井淳子さんの講演を聴講したときのことを思い出した。

富士山の話の時、彼女がスライドに映し出したのは山頂部分から下に流れる白い川のようなもの。

それは、トイレットペーパーのゴミでできた川だった。

富士山は夏の間大量の登山者を受け入れなければならない。
昨今では環境問題に関心を持つ人が増えてきたために
トイレ施設やマナーも改善されつつあるようだが、
それ以前に作られてしまったこの“白い川”は未だに消えていないような話をされていた。

富士山の観光登山の歴史は江戸時代にまで遡る。
積もりに積もったゴミはそうそう簡単には消すことはできないだろう。
では、屋久島は今後どうなってしまうのだろうか…?

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(つづく)

撮影機材:OLYMPUS E-3 + ZUIKO Digital ED 12-60mm f 2.8-4.0 SWD

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