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トカラ列島の概要

その村へのフェリーは、
真夜中にひっそりと出港する。

透き通るコバルトブルーが広がる薩南諸島の 海を夜空と例えるならば、
その空に遠慮がちに散りばめられた7つの小さな五等星。

さほど多くの人 には知られていないその島々は
古来から「トカラ列島」と呼ばれている。
日本の南西諸島、詳しくは 南西諸島の北に位置する薩南諸島にある列島である。
自治体の名前は「鹿児島県鹿児島郡十島村」。

屋久島や奄美大島といった、面積も人口も大きい2つの島に挟まれて
ひっそりと存在するこの列島 は、7つの有人島と5つの無人島、
合わせて12の島々で構成されており、その存在はほとんど知られ ていない。

しかし、その知名度とは裏腹にこの列島は、

<日本でもっとも長い自治体>であり、
<温帯気候と亜熱帯気候の遷移帯に位置>しており、
<ヤマト文化と琉球文化と東南アジア文化の混じり合った文化>を持ち、
<黒潮の分かれ目>に位置している

など、さまざまな特徴を持っている。

これほど複雑な場所でありながら何故知名度が低いのだろうか。
それは単純に面積も人口も微小かつ、先述した一般的に興味深い2つの島に
挟まれて影が薄くなって いるためだと考えられる。

私がはじめてトカラ列島の存在を知ったのは2006年のことで、
その後2007年にはじめてトカラ列島の宝島を訪問した。

目的は宝島ではなく、他のことにあった。
しかし、宝島訪問直後縁あって同列島の中之島を訪問したのを
きっかけにトカラ列島の奥深さに惹かれて、
それ以来足繁くこの島々を訪問することとなった。

トカラ列島は日本国内でおそらくもっともたどり着くのに
時間のかかる場所であるといえるだろう。
どんな辺境の地でも、近隣の空港まで飛行機で飛び、
そこから車に乗り換えれば到着するまでそれほ ど時間がかかることはない。
一方でトカラ列島は一番近い港から出発しても
必ず一夜をフェリーで過 ごさなければならない。

羽田空港や関西空港から出発することを考えると
飛行機に乗っている時間に プラスして鹿児島空港から鹿児島港まで1時間以上、
そしてそこからもっとも近い口之島まで8時間以 上も時間がかかる。

このトカラ列島よりアクセスの悪い場所は
東京都の小笠原諸島の他にはないと思う。

しかし、小笠原諸島とトカラ列島では知名度があまりにも異なりすぎる。

第一、小笠原諸島は東京都である。
この2つの僻地は単純にアクセス時間で比較できる場所ではないだろう。