行き先は、風に聞いてます。

🔖 メニュー

懲りずにトカラに行きました(1) -寝台特急-

-寝台特急-

これが噂のブルートレイン。
本当に青いんだ! ちょっとびっくりしましたよ。
今回はこの列車から旅を始めました。

 11月6日の午後6時。ぼくは寝台特急「はやぶさ号」に乗り込んだ。
東京からはるか1000キロ離れている熊本まで直通の寝台特急、つまり「ブルートレイン」である。

ぼくはいわゆる「鉄」ではない。
しかし、旅は移動を始めたときから始まると信じているので、移動手段にはいつもこだわっている。
「寝台特急」。それは旅においてはもっとも理想的な移動手段の1つだと考えたのだ。

ーーー
※鉄 てつ。鉄道マニアの総称。鉄には鉄道に乗ることを主目的とする「乗り鉄」と、
    鉄道の写真を撮影するのが主目的の「撮り鉄」の2種類があると言われている。
    ぼくの場合、どちらがいいのかといわれると非常に迷ってしまうのだが、
    やはり「乗り鉄」の方がいいと思う。どうでもいいですね。
ーーー

 客車に乗り込むと思いのほか狭い通路が伸びていた。
窓際には収納式のイスがあるので、
それに誰かが座っているとそこを通り抜けるのに難儀するくらいの幅しかなかった。


本当に狭い通路。

大きな荷物運ぶの大変だったよ。
その代わり、寝台には快適なスペースが設けてあります。

そのイスのある大きな窓の後ろには合宿所のような2段ベッドが1つずつ向かい合わせに設置してある。
それぞれの寝台には緑色のカーテンがとりつけてあり、閉めると個室になるようになっていた。
備え付けには、シーツ・掛け布団・枕・浴衣が置いてある。
手元には小さな蛍光灯のライトがあった。


ちょっと感動したのが、この寝台セット。
これなら快適に過ごせそうです。
でも浴衣はかなりテキトー。
女性が着たらちょっとまずいんでは? という作りでした。

こちらがいわゆる「B寝台」。
他に「A寝台」と「B寝台ソロ」があって、A寝台には鍵がついてた!
しかもその車両だけ自動ドア…。

 予約時に個室が満席だったので、
2段ベッドが2つずつ設置されている寝台だったが、思ったよりも快適だった。
手元のライトの明るさも本を読むのにちょうどよかった。

 はやぶさ号は“よく揺れる”ことで有名な寝台特急らしかった。
特に駅に停車するときの揺れはいらいらするほどだ。
だが、それを別にすれば列車の揺れは心地よかった。

例の「豚の丸焼き」の収穫祭騒動から3日め。
まだまだゆっくりして準備もまったりとやっていたかったが、時間がなかった。
その疲労のおかげか、列車の心地よい揺れのおかげか。
ぼくは翌日、目を覚ますまでずいぶん深い眠りに入っていたようだった。

 11月7日。一晩明かしてようやく九州地域に突入し、お昼ころに熊本駅に到着した。
ここからは「リレーつばめ号」と「つばめ号」に乗車して鹿児島中央駅まで向かう。
ゆっくり、ゆっくりとした旅だ。
そこから2時間かからずに着いた鹿児島中央駅は、思いのほか暑かった。

駅からさらに1時間ほど歩いて目的の場所に行かなくてはならないのだ。
暑くてたまらない。
というか、荷物が重すぎた。
何度も行った場所なのに、道を間違えてしまった。
最初からバスを使えばよかった…。

 飛行機を使った方が早く着くのに、なぜ寝台特急にしたのか?
それは、最初に記した通りの理由だ。
たしかに、飛行機の方が早いし、しかも安い。

だけど、ぼくは“東京から鹿児島まで行く”という気分を味わいたかったのだ。
かつては東京と鹿児島なんてとても行けない時代があったわけで、
徒歩の時代から、汽車の時代になって、今は飛行機の時代へと変わっていった。
生活のなかにスピード感が加わると同時に、我々の心のなかの落ち着きは失われていったのではなかろうか?
だから、今日のようなストレス社会が生まれてきたのではなかったのだろうか。

 トカラには時間をかけなければたどり着くことはできない。
なぜなら、そこへの道は週に2回しかつながらないからだ。
すなわち、フェリー。

しかも、7時間以上。

だから、そこにはゆったりとした時間が流れている。
それがトカラの一番の魅力なのかもしれない。
そんな場所に行くのにスピードを競っていたら失礼な気がした。
だからこそ、今回の寝台特急はより一層、旅の気分を盛り上げてくれたのだった。

 さて、トカラ行きのフェリーが鹿児島港から出港するのは23時50分。
それまでは、さらにゆっくりと時を過ごすことにしよう。

◆参考になりましたか? ↓ なったらクリックくださいね。

懲りずにトカラに行きました(1) -寝台特急-  懲りずにトカラに行きました(1) -寝台特急-

(つづく)

撮影機材:OLYMPUS E-3 + ZUIKO Digital ED 12-60mm f 2.8-4.0 SWD
       + ZUIKO Ditital
9-18mm f 4.0-5.6