あ、あんなに大事にしていた彼女(自転車ね)を盗まれるなんて…
それは、四万十で出会った友人のライヴを聴きに行ったときの事。
愛車(自転車ね)にサドルバッグを取り付け、ハンドルも自分の肩幅に合わせて半日がかりで調整したばかりで、ああ、なんてカッコいい自転車なんだろう。
と思っていたんだ。おれは。
ライヴ会場まではちょっと遠かったんだけど、それでも、チューンナップしたばかりだったから、とにかく乗ってみたかったんだよ。
それで、1時間くらいかけてライヴ会場まで行ったんだ。
やっぱり素晴らしいライヴだったよ。
喫茶店が会場だったから、イスが堅くっておしりが痛くなったけど、そんなことも忘れたよ。
でもさ、自転車の鍵は絶対しめていたはずなんだ。
そこは忘れていなかったはずなんだ。
でもね、ライヴが終わって帰ろうと思ったら、
その自転車が消えていたんだ。
もう、愕然としたよね。
オーストラリア生活を楽しめたのは、他でもない彼女(自転車ね)のおかげだったんだ。
おれは許せないよ、大切な彼女(自転車ね)を盗んだ奴が。
あいつがいなければ、おれは2000キロもオーストラリアの砂漠を走る事はできなかった。
どこに行ったんだろう。
ひどいよひどいよ。