湯檜曽川高倉沢右俣
梅雨明けも近い、ということで、土日に上信越に行ってきた。
湯檜曽川の小さな支流・高倉沢右俣である。
土曜日は前回のようにお昼に着くように東京をゆっくり出発し、
その日は本流でゆったりと過ごす。
ちなみに土曜日の晩ご飯はウワバミソウの炊き込みご飯。
フキは砂糖醤油で煮ようとしたのに食料係が砂糖を持ってきていなかったので、
1年生に味噌で煮込ませたり、マヨネーズで和えさせたりした。
マヨネーズ和えはまあまあいけたけど、味噌煮はただのみそ汁だった。
↑この日の食材(ウワバミソウとフキ)
↓この日のごはん(ウワバミソウの炊き込みご飯)
↑調理は焚き火だけで行う。沢登りの醍醐味(?)だ。
翌日高倉沢に入渓。
出合は小さく、本当にこの先にキレイなナメ(一枚岩に水が流れている箇所のこと)や、
15mの滝があるのかと疑ってしまう。
ちゃんとあった。
写真は最初の15m滝。
ちょっと難しそうだったが、N隊員がとりつき、1年生もそれに続いた。
この滝を越えた上部には、箱庭のような可愛らしい渓相が続き、
噂通りのキレイなナメが現れる。
そして、そのナメの先に、明るい15m2段滝が待っていた。
天気がいい日はシャワークライミングが気持ちいい。
下段は簡単で、問題は上段。
気持ちのいい場所なので、1年生には適当に遊んでもらって、
N隊員はハーケンの練習を始めた。
すると、突然、上段の滝手前からK隊員がゴロゴロ回転しながら滑落してきた!
まさに like a rolling stone だ。
頭の中が真っ白になる。
目の前を転がっていく我が愛弟子…。
高さは6mほどだが、滑落距離はもっとあっただろう。
奇跡的にも無傷だったので良かったが、
簡単そうな場所でも足を滑らせたら落ちるとこまで落ちるのだ、と改めて実感させられた。
大事に至らなくて本当に良かった。
上段は左側にあるオレンジ色のロープを使って登る。
この時、上段を登る気は皆無であったことは言うまでもない。
その先はちょっと荒れた沢になり、いよいよこの沢最大のお楽しみであろう3mチムニー状滝が現れる。
水をかぶりながらのシャワークライミング。
水流の中にスタンス(足場)を求めたり、
両手で突っ張ったりしながら登る。
上の方は水がかかってけっこう難しかった。
このチムニーを越えるとすぐに3段12mの滝がある。
というか、下から見えている。
我々のバイブル「上信越の谷105」によると、
この滝は捲かれている(直登せずに、横の尾根に入って越えること)のだが、
1、なんとなく登れそう
2、下が微妙に釜になってるから、落ちても平気
3、捲くのがなんとなく嫌
4、上部は簡単そう
という、いい加減な理由でN隊員に登ってもらうことにした。
最初は2人で色々考えたり、ショルダー(肩を足場にして登る技術)をしたりしたが、
やっぱり登れない。
でも、登れそう。
結局N隊員が意地で登ってくれた。
下は1段めをクリアしてガッツポーズをとるN隊員。
この滝の核心は1段めで、ここは左の水流から取り付き、
2,3mほど登ったところで右側のバンドを伝い、
右側に逃げたのち、落ち口に立つ。
というのがルートのようだ。
2段めは下から見ると簡単そうなのだが、実際はかなり厳しい。
ここは右側の水流がないところを登っていた。
3段目は傾斜も緩く、階段状になっているので、問題なく登ることができる。
セカンド以降は上から垂らしたロープを手で引っ張って
ゴボウで登ったのだが、それでも結構楽しめた。
下のチムニーと合わせて、真面目に登ればかなり楽しい部分だろう。
この沢に行こうと思っている方にはぜひ、この滝を登って欲しいと思う。
核心部を過ぎると沢は一気に水量を減らし始める。
「源頭部」は、その山域の特徴を明快に表している場所だと思う。
奥多摩・奥秩父のコケ生す森のような源頭もあれば、
上信越のように空が開け、赤茶けた岩の続く源頭もあるが、
沢を登っている最中、この源頭部に来たときが一番
「○○に来ているんだなあ」という実感を味わう。
いずれにせよ、沢の源頭部には趣きがある。
なぜか遡行図にある40mスラブには気づかなかったが、
源流部にあるナメ滝は1ヶ所だけ垂直になっていて楽しめる場所があった。
そこを遡行図通りにつめていくと踏み跡らしきものが続いていたが、
道が削られ段差になっており、その踏み跡に行くのがどうしてもできなかった。
仕方なく右側のルートを選ぶと、遡行記録にあった「急傾斜のスラブ」っぽいのがあったが、
違うよなあ。
最終的に40分ほどのヤブ漕ぎをして、高倉山頂上にちょうど出た。
でも唖然としたことは、ヤブを漕いでいる尾根のすぐ右側にずっと登山道が続いていたことだ。
なんと…。おそらく20分くらいムダなヤブを漕いでいたのだろう。
ロープウェイ乗り場には人がごったがえしていた。
雨も降ってきた。
この日は真黄色のニッコウキスゲが満開だった。