究極の燃料!焚き火を考える
Photo by Stephen Downes
前回は、アルコールバーナーがいかに環境に優しい燃料であるかということを説明しましたが、
やはり、Leave No Trace 的には究極の燃料である
「焚き火」
に触れないわけにはいかないでしょう。
焚き火、それは、最も原始的な火であり、
焚き火を熾すための薪も同時に最も原始的な燃料です。
その焚き火の魅力は実に強力。
数多くの焚き火ストが実在することからも、それがわかるでしょう。
暗闇に弾ける不規則な炎の動き、ぬくもり、なんとも言えないあの光…。
特に奥深い山のなかでの焚き火には言葉にできない魅力があります。
しかし多くの自称焚き火ストは本当の焚き火を知らないのではないでしょうか。
そう、彼らの多くはキャンプ場での焚き火や薪ストーブを楽しむだけのことが多いのです。
だが、私は考えます。
本当の焚き火とは、生活に使うための焚き火のことを言うのだ、と。
では、生活のための焚き火とはいったい、どのような火でしょうか?
まず、私たちの生活に最も密着している火は、調理のための火ですね。
そして次に灯油ストーブなど、暖をとるためのもの。
その他には何があるでしょうか?
実は、現代の一般的な人間と火の関係は、以上の2点しかないのです。
さらにエアコンの普及に伴って、暖をとるための火もだんだん生活から遠のいてきています。
もっとも効率よく暖をとる方法は火なのですが…。
もっと言ってしまえば、IHの普及でガスすら使わなくなってきましたね。
こうして私たちの生活からだんだんと火が、それこそ消されつつあるのが現状です。
だから焚き火に憧れるとのかもしれません…。
本来であれば、生活と人はもっと密着しているはずです。
例えば、朝起きて料理をするのに火を付けますし、
寒ければ火鉢や暖炉に火を付けます。
お昼には、畑を肥やすために焼畑を行ったり、ゴミを焼いたり。
もちろん、昼食でも火を使いますね。
そして夜には、火の明かりで生活をしたり、暖をとったり、料理したり、
お風呂を沸かしたりしていたわけです。
とはいえ、現代の社会、特に都会ではまさかずっと火と付き合う生活なんぞは今更無理な注文です。
そこで、せめて野外活動に精を出している間くらいは焚き火で生活をし、
人間本来の姿を見つめ直してみようではありませんか。
焚き火をじっと見つめながらボンヤリ考え事をしていると、
はるか昔の祖先たちもおなじようにボンヤリとしていたんだろうな…と不思議な気持ちになってきます。
風こそは信じられないほど柔らかい真の化石だ
風とは、何百年も前に祖先が吐いた息なのだ
なんていうロマンチックな話が“風”にはありますが、焚き火もまさに同じではないでしょうか。
今燃えている火は、長い間に成長し歴史を見続けてきた木々の輪廻転生の姿なのだから。
しかし、焚き火を燃やしたときにナマ木を入れてしまった時や、
なんかよくわかんない変な煙を出す“ナニか”を入れてしまった時の惨めさはなんとも言えないものである。