豚の丸焼きはなにを伝えるのか?
そういえば、我が探検部名物の「豚の丸焼き」の話をしていなかった。
毎年11月の収穫祭の模擬店でやっているんです。「豚の丸焼き」。
豚の“丸”焼きです。豚肉を焼いてるんじゃありません。
こんな感じです。
ん~、まだまだ焼き具合が足りないような…。
でも、アップで見ると結構焼けてますね。うん、おいしそうです。
おっと、ここではシェフっぽい人が
なにやらぶつ切りにした肉塊をフライパンから食器に移していますね。
ちなみにシェフっぽい人はこのblogによく登場しているY隊員です。
これが商品のようです。
そう、上の豚さんの末路です。
あの後、お客さんの目の前で頭を落とされ、解体されたのです。
そして、衛生上もう一度火を通す必要があったので、
シェフがフライパンで炒めていたんですね。
ちなみにこのぶつ切り肉には探検部秘伝のタレがかけられています。料理はタレです。
で、ぶつ切りにできなかったような肉、つまりスペアリブとかの部分ですね。
この部分はドラム缶を半分に切ったどでかいバーベキュー台で焼いておきます。
焼けば、食えます。
せっかく体を提供してくださった豚さんの命は粗末にはできません。
全部、売りさばきます。
◆
さて、毎年行われている「豚の丸焼き」。確かに見た目は派手で、グロテスクだ。
多くのお客さんから「気持ち悪い」とか「かわいそう」とかいう声が聞こえてくるが、
「それではみなさんは普段何を食べていらっしゃるんですか?」と訊いたら、きっと答えられない。
わりと歴史のある模擬店で、一種の名物になっているのだが、
当初、どういう意図があってこの模擬店が始まったのかは詳しく知らない。
しかし、ほとんど加工されて、すぐにでも食べられるようにされた肉ばかりが出回っているいま、
我々は、「豚」という“カタチのあるもの”から商品を作り、
(あんなに非衛生的に加工されたものが“商品”と呼べるかは議論の余地があるが・笑)
それを大っぴらに見せることによって、
見る人に改めて「自分たちは命のあるものを食べて生きているんだ」という実感を与えられるー
そこに、毎年「豚の丸焼き」を行う意味があると考えている。
ー意外と、そこまで深く考えてやっているのだが、やり方が原始的すぎるのだろうか、
それとも反対にアヴァンギャルドすぎるのだろうか、単に“バカ者の集団”と誤解されている気がする…ー
だから、「衛生的か衛生的でないか」という議論はこの模擬店においては不要だと考えている。
焼くところから解体までお客さんに見せているのだから、
食品偽装を平気でするような店とか国とは話が違う。
つまり、豚の丸焼きを買い求めるお客さんに「衛生的か衛生的でないか」という疑問はないはずである。
また、ものを食べるという行為は、結局のところ非衛生的なことなのではないかとも思う。
それは、豚を焼いているとよくわかった。
(ここを説明するのは少々難しいので省いてしまおう)
ようするに、まあ、食べ物ってああいう、“カタチのあるもの”からできているんだよなぁ。
ということを伝えるために、毎年、ぼくらは懲りずに豚を焼きつづけているのであった。
◆
ん? 部室に戻るとペンキのなかにゴミみたいな人間がいますね…。
まさか、豚の丸焼きを担いでボディペイントを施してキャンパス中を走り回るような、
まさか、そんな真似の結果ではないよね?
撮影機材:OLYMPUS E-3 + Zuiko Digital 12-60mm f2.8-4.0 SWD
レタッチ:GIMP 2.4.5
撮影協力:東京農業大学農友会探検部の皆さん