全国エコツーリズム学生シンポジウムで発表されたことをまとめ
前回の通り、全国エコツーリズム学生シンポジウムという
実に楽しいイベントに参加してきたので、行けなかった方のために
発表された内容を簡単におさらいしておきます。
発表は東京大学の駒込キャンパスで行われ、
ポスターセッションのほか、
プレゼンテーションでは3つのセッションに分けての発表となりました。
また、最初の基調講演はJTBの社長による、
エコツーリズムの可能性についての講演が行われ、
実にわかりやすくエコツーリズムの可能性と課題を説明してくれました。
その後、「環境」「地域」「観光」の3セッションに分け、
各セッションでの発表者は3名ずつ、その発表後はそのセッションの課題などを
学生同士のグループ(8人まで)でディスカッションをするというものでした。
では、それぞれ簡単に発表内容を説明していきます。
ぼくの解釈なのでご本人の伝えたい事と一部異なることもあるかもしれませんが、
多少の参考にはなると思いますので、お許しください。
【環境セッション】
「シーニックバイウェイ北海道 シーニックの森の取り組み」
向 未悠さん(札幌国際大学3年)
北海道で取り組まれている、ドライブ観光と、
植樹活動に関するお話でした。
いかに楽しんでエコツーリズムに参加してもらうのかの提案でもありました。
地域の人と観光客がいっしょになってエコツーリズムを実践することが
大切だとまとめてくれました。
「エコツーリズムにおけるガイドと研究者の関係 -東京都小笠原村父島を事例に-」
山菅 香さん(首都大学東京大学院修士過程2年)
エコツーリズムにおいて、ガイドさんと研究者はどのような付き合いがあるのか、
そして、研究者と一緒に仕事をしたことのあるガイドと、
そうでないガイドの研究者に対する意識の調査などの発表でした。
研究者とガイドが話し合える環境や、研究者同士のネットワークの構築が
大切だとまとめてくれました。
「我が国のエコツーリズムにおけるガイドの環境保全活動についての考察」
武 正憲さん(東京大学大学院博士課程3年)
エコツーリズムにおいてガイドがどのような役割を担ってきたのか、
歴史などを便宜的に分けて説明してくれました。
結果、ガイドがエコツーリズムの中心的存在であるということが
裏付けられたということを伝えてくれました。
環境セッション発表後
観光客・研究者・ガイドの
3つの主体の役割についてのディスカッションと、
それを実践するための仕組みとして、
- 楽しみながら環境保護をおこなうためには?
- リピーターの確保は?
- サポートや働きかけは?
- 海外事例は?
についてのディスカッションを行いました。
【地域セッション】
「金谷天満宮例祭と地域振興 ~祭りの変遷と地域住民の意識についての一考察~」
金子 沙織さん(京都光華女子大学4年)
祭りが変遷して、地元主体から行政主体になってしまったこと、
地域によって祭りへの参加の仕方が異なる事などを説明し、
- より多くの住民が秋季例祭の認知をするべき
- 地域住民自らの不満打破が必要
- 行政は地域住民の声を取り入れ、より協力すべき
とまとめてくれました。
「宮城県石巻市田代島における猫観光の地域的背景
―人間と猫の関わりに着目して―」
白柳 かさねさん(首都大学東京大学院修士課程2年)
個人的に一番面白く、プレゼンテーションも上手でした。
猫が観光資源になっている事例を紹介し、
本当に猫が原因で観光客が増えているのかの裏付けをとった研究でした。
そもそも猫を観光資源にしたきっかけは移住者のネットによる紹介だったことと、
地域の特色を活かした観光が必要であるということを説明してくれました。
「市民参加手法による再フレーミングのための参加型プラットフォーム構築
―「宝探し」と「市民討議会」を事例に― 」
沢田 宣夫さん(文教大学大学院修士課程2年)
市民が話すことによって自分たちの地域がもっている資源をみつめなおし、
そして市民主体に観光型まちづくりが行えるという実例を説明し、
市民討議会などを通して、市民が参加することの大切さを説いてくれました。
地域セッション発表後
地域資源の観光利用における良い点と、悪い点について話し合い、
その対応策についてディスカッションをしました。
【観光セッション】
「日本のホエールウォッチング産業の将来性を探る」
名生 華子さんら(東京コミュニケーションアート専門学校)
実際にドルフィントレーナーとしての勉強をしている学生による、
ホエールウォッチングの紹介と、潜在的なマーケット数の算出などをし、
- 世界のホエールウォッチング産業は大きな発展が期待される
- 質の高いホエールウォッチングの提供が必須
- それぞれの地域の特色を活かした「新しい取り組み」が期待される
とまとめてくれました。
「五感の視点からみた自然観光体験
裏磐梯レンゲ沼・中瀬沼探勝路での「感覚マップ」調査をもとに」
長塚 涼太さんら(立教大学2年)
視覚・触覚・聴覚・嗅覚の4つの感覚に分けて
トレッキングルートをまわり、それぞれの感覚に応じて
感じた事をマップにおとすというユニークな研究の発表でした。
「地域と環境に貢献するバイオマスツアーの意義と課題
~岡山県真庭市を事例に~」
中村 真人さん(桜美林大学3年)
バイオマス(化石燃料に変わる生物的燃料)を生産する工場から、
それを利用する農場などまでを見学することができるツアーの紹介をし、
バイオマスツアーが持続的に続けば、
環境や地域問題を解決できる糸口になるとまとめてくれました。
観光セッションの発表後
エコツアー参加者の裾野を広げる方法についてのディスカッションを行いました。
【交流会】
交流会ではたくさんの人たちと楽しいお話ができました。
でも、マイ箸・マイカップ持参は徹底するべきですね。
ポスターセッション(全17団体)
【環境】
・日本の大手旅行業においての環境経営への取り組み
(高田有 富山県立大学短期大学部専攻1年)
・国立公園における観光者の環境保全コスト負担への協力意志の有無とその条件に関する研究 ―小笠原国立公園を題材にして―
(野澤優介 文教大学4年)
【地域】
・住民参加によるインカ道の保全活用に関する参加型農村調査(PRA) ─ペルー国アンカシュ県コンチュコス地域の事例研究─
(大谷博則 奈良大学大学院博士後期過程3年)
・和歌山県における子ども農山漁村交流プロジェクトの取り組み
(谷脇幹雄 和歌山大学大学院2年)
・都市における農業体験農園の利用形態とその役割―東京都練馬区を事例として―
(飯塚遼 首都大学東京大学院博士前期課程1年)
・日本の農業は観光で生まれ変わる!
(後藤卓 首都大学東京大学院修士課程1年)
・持続可能なまちづくりをめざして
(工藤裕 札幌国際大学3年)
・「天地人」で町おこし~新潟県の観光への影響~
(中野尋香 京都光華女子大学4年)
・地域振興における歴史と文化財の活用とその可能性~大山街道を事例に~
(○根本 雅史、富永マリア、荒井一成、美山佑介、木村莉奈、國宗未散 文教大学3年)
・茅ヶ崎北部の活性を目指して ~住民の意識改善のプロセスを中心に~
(○小笠原麻結、加藤勇人、相馬祥子、田村真紀、中村友香、羽田英峻、皆川貴広、矢口翠 文教大学3年)
・38度線を越えて~マダンがつなぐもの~
(康あんな 大阪芸術大学4年)
・旅のとば口
(小川佑真 大阪芸術大学4回生)
【観光】
・神津島における島民主体のエコツーリズムのあり方
(古川裕介 松蔭大学2年)
・新しい持続可能な観光ジオツーリズムに関する実践を通じた考察-糸魚川ジオパークを事例に
(馬場龍一 早稲田大学大学院修士課程)
・小布施町の観光振興
(○生田麻紀、遠藤美穂、黒澤梓、沢畠彩花、田中絵美、松野春菜、宗像由顕 文教大学3年)
・新潟県上越市における地域活性化への成功方法
(相葉マナ 文教大学4年)
・観光教育が人に与える影響―パーソナリティとストレスとの関わり―
(中村しほり 文教大学4年)
以上、本当に簡単ではありますが、まとめてみました。
次回は、プレゼンテーションを見て思った事、こうした方がもっと良かったのでは?
ということを書きたいと思います。