トカラ列島・中之島紀行記(4)

 18日の夜に出発し、19~20の間、上信越の茂倉谷という沢に行ってきた。
19日は大雨で大増水となって、やむなくもなにもなく、撤退。散々な休日となった。
そちらのレポートは後日にし、引き続き、中之島紀行記の続きを掲載しようと思う。

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(4)

 とりあえずヤギをロープで縛りつけ、パパイヤを収穫する。
初めての体験なので、ぼとぼとと実を落としてしまう。
1つのカゴいっぱいに入れた後、農園から少し移動。

今度はワラビを摘むらしい。
山菜採りに慣れた人ならすぐ両手いっぱいになるような場所だったが、
私は片手に持てる程度しか見つけられなかった。
もちろん、Tさんは両手に抱えきれないくらい摘んでいた。

遠くに何故か七面鳥がいた。
この島にはイタチがいるので合鴨などは襲われてしまうが、
さすがに七面鳥までは襲われないのでペットとして飼っているらしい。

まだ時間に余裕があったため、海へ案内してくれることになった。
知っている人でも見落としてしまうような細い道が竹やぶの中にあった。
当然、Tさんが拓いた道だろう。

食用にするとたいへん美味なリュウキュウチク(別名ダイミョウチク)の竹やぶである。
幸運にもこの道の途中で何十年に一度しか咲かない竹の花に出会うことができた。

 道はどんどんと続いている。
本当にこんな山の中から海に出られるのだろうかと心配になってしまうくらいだ。

しかし視界は突然開いた。

そこには荒々しい崖の上に広がる原っぱだった。
海は日本のものでも沖縄のものでもない独特の色をしている。
本当の水色という言葉があっているかと思う。
この海にはマンタやウミガメなど、ダイバー垂涎の生物がウヨウヨいる。
更に、ここからだと火山活動と琉球石灰岩で構成された島であることがよくわかった。

 ダイナミックな光景を見たあとは集落のほうへと車を下らせていく。次はビワの畑である。
トカラはビワの生産に最も適した気候であるらしく、
市場ではすでに「トカラのビワ」の名は通っているとのこと。
キロ単価は忘れてしまったが、かなりの高額で取引されているようだ。

1つだけ食べさせてもらったが、やはりまだ甘くはない。
糖度10%くらいだろうと言っていた。

しかしながら、ビワの世話はとても大変な作業らしく、一年中何かしらしなければならない。
ビワの世話が一番援農を必要とするらしいが、
逆に収穫はちょっとでも果実に傷をつけると(産毛がとれると)商品価値がなくなってしまうので、
あまり他の人に触らせたくないようだ。

 日も暮れだす頃となったので、下の集落の温泉へ行くことに。
上の集落の人があまり早く入ると人間関係に支障をきたすらしいので、
島に暮らすにも色々な苦労があるのだろうなと感じた。

トカラの島々は火山性なのでほとんどの島に温泉がある。
この中之島の場合はイオウ温泉と塩温泉があり、この日私たちはイオウ温泉に入った。

温泉の中ももちろん知り合いしかいないので、Tさんたちは楽しそうだった。
こういう状況は東京に住んでいる者にとってはうらやましい。

無論、そのぶん自分の行動は島中に筒抜けなのだが。

泉質がいいらしく、上がった後はずいぶんと体がポカポカとしていた。
海岸沿いにある温泉なので潮風が心地よい。

防波堤に登るハシゴがあったので、そこに登って水平線に沈んでゆく夕日を眺める。
「昼間で降っていた雨はいつの間にやんでいたのだな」
と思いながら気持ちのいい空を仰いでいると、
法事に行くために先に上がっていたTさんが軽トラで迎えに来てくれた。

(つづく)

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