エンデバー最後の打ち上げと震災復興
Photo by jking89
NASAのスペースシャトル「エンデバー号」が
米国東部時間5月16日午前8時56分(日本時間同午後9時56分)に
アメリカ、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
これは24度打ち上げをされ、そして最後の打ち上げとなる25度目の打ち上げだということです。
リーマンショックから引き続き、日本には暗雲が立ち込めており、
民主党による「仕分け」により宇宙開発費用が削られたことはまだ記憶に残っています。
度重なる災害はなかなか収まらず、福島第一原子力発電所の容態も穏やかではありません。
そんななか、「復興のためには増税やむなし」という意見もチラホラあるそうで。
こうした現状を考えたり、
いやいや海外に行ったらもっと辛い目にあっている人がたくさんいるぞ。
なんて考え始めると、宇宙開発なんぞは悪趣味な金持ちがやることだ。
と思ってしまう人もなかにはいるかもしれません。
私自身も学生時代に国際協力に関する研究をしていたので、
まずは貧しい人々を救うことだとか、自然を守り維持することだ…
と思っていたこともあったのですが、
「知的生産の技術」の著者である梅棹忠夫さんと
京都大学名誉教授桑原武夫さんの対談にこんな一節がありました。
桑原:科学にはやめるってわけにいかんものがあるんですよ。即ち、人間には基本的欲求ー食欲、性欲、睡眠欲があるでしょう。そのつぎに、新しさの欲求、新しいことを知りたいっていう欲求がある。これは消すことができない。どうコントロールするということはあっても、消すことはできない。
(中略)
梅棹:すべての文献、すべての科学者を、穴を掘って生き埋めにしてもね、あくる日からまた科学の再建が始まって、10年もしたら、もとのもくあみになりますよ。しようがないんですよね。人間は科学するように運命づけられているんだから。
(中略)
桑原:たとえば学生は酒飲んでる暇にラテン語憶えたらええっていうのは、そうかもしれんけど、そんなこと言うたら青春の酒というものを飲む時間がなくなってしまうじゃないですか。まずロシアの人民の幸福のためにっていうのも、いかにも人間的な考え方のようだけど、実は、人間がぜんぜんわかってない発想や。
文藝別冊「梅棹忠夫」(2011)より
私は、最後の「人間的な考えのようだけど、実は、人間がぜんぜんわかってない」という点に着目しました。
そう、学生は一日中勉強していたらいいかもしれないけど、
それは学生のことを分かっていない発想ですよね(笑)。
学生が学生らしくなかったら、やっぱりダメだと思うんです。
だから、人間も人間らしく科学をしないといけないんじゃなかろうか…。
復興のためにはたくさんのお金が必要です。
しかし、だからといって「不謹慎」だとか「無意味だ」とかいった考えのもと、
予算を削っていくのは正しい方法ではないのかもしれませんね。
何はともあれ、まずは本当の無駄遣いからお金を削っていって、
増税や電気料金の値上げ等の話をしてもらいたいものです。
ちなみに私はロクな役人に会ったことがないので、
まずは国税をもらって生活している人たちから削ることと、
堂々と行われている不正な助成金の監視を強化することから始めるべきだと思っています。