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私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

日本一の富士山に登頂したい…。それは、老若男女そして国籍を問わず抱く、アジアのささやかな夢でしょう。先日台湾からいらっしゃった大切なお客さんからの希望で富士山に登ってきました。

学生時代、私は探検部に所属していました。そして、さまざまな山に登ってきましたが、実は富士山にはきちんと登ったことはありませんでした。

というのも、富士山は私たちにとっては、登る山というよりは、訓練の山なんですね。なんの訓練をするかといいうと、真冬に富士山に行って、転んで、すべって、そして停まる訓練をするんです。

冬の富士山は雪と氷でおおわれます。例えるなら、アイススケート盤を斜めにしたような…と言っても過言ではないでしょう。

お察しの通り、とても危険なのですが、富士山で滑っても停まることができれば、たいていの山ではしっかり停止できるという考えで訓練をします。

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

そのため、ぼくにとっての富士山は真っ白で、ツルツルで、強風が四方からビュービュー吹く恐ろしい山です。

訓練のあとに洋服のポケットをまさぐると、風で入り込んだ大量の細かい火山岩が出てきたものです。そうそう、髪の毛からも…。

富士山の特殊性

しかし、今回はお子さまでも登頂できる夏の富士山。結果から伝えますと無事に全員登頂できましたし、楽しかったです。山頂からのご来光はなんだか感動的だったなあ。

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

ところで、日本の最高峰である富士山(3,776m)に次ぐ山は、南アルプスにある北岳(3,193m)です。しかし、富士山と北岳の標高差は583mもあり、富士山がぶっちぎりの最高峰となっています。

また、周囲を深い山に囲まれた北岳と、平野にとつぜん屹立している富士山とでは、その見た目のインパクトも大きく異なります。

そして極めつけは、富士山のたおやかな稜線でしょう。

富士山の美しさは、コニーデ火山(成層火山)であるという科学的な理由がありますが、あそこまで非の打ち所のない姿は、世界中のコニーデ火山を探しても他にありません。

コニーデ火山(成層火山)

いいえ、もしかしたらあるかもしれません。しかし、それは決して重要なことではないのです。

富士山ほどアクセスしやすく、そしてどこからでも見ることができ、古今東西に愛されてきた山はないからです。

今回、富士山が「世界文化遺産」に登録されたことからも分かるとおり、富士山は古来から日本人に親しまれ、時代を越えてさまざまな芸術の題材となってきました。

そんな山に登ってみたいと思うのは、人間の素直な欲望でしょう。ですが、私にしてみれば夏の富士山はもう十分です。その理由をご紹介し、富士山に登ろうと考えている人のお役に立てればと思います。

1、人が多くて嫌だ

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

私は8月の平日に行ってきたのですが、まあ大変な人の量でした。登山道に渋滞ができるというウワサは聞いてはいましたが、まさか本当に渋滞するとは。

道が広いところでは、さほど困ることはないのですが、狭い道や、岩登りっぽい道ではなかなか列が進みません。自分のペースで登れないのは辛いですね。写真を撮ろうにも、どこにでも人が写り込みます。

夜明け前の登山道などは、行列が下界のネオンから登山者のヘッドライトまでずっと続いているのではないかという錯覚におそわれます。

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

自然を感じるために山に来ているのに、まるで新宿にいるかのような人の多さ。こんな場所には二度と行きたくありません。

2、小屋が商売っぽすぎて嫌だ

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

山小屋にも一泊しました。避難小屋を使ったことはありましたが、ちゃんとした山小屋に泊まるのは初めてです。小屋自体はあたたかくて、ごはんも出て快適なのですが…。

どうも山小屋の経営のしかたが気になりました。もちろん、小屋によって異なるとは思うのですが、お客さんとか自然のことを考えているようには思えないのです。

小屋に着いてゆっくりしていると、館内放送で食事の準備ができたという放送がありました。食事はハンバーグカレー。今まで山小屋でご飯を食べるなんて経験はなかったので新鮮でした。それに普通においしい。

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

そしてご飯を食べている最中、小屋の方は山頂の天候について親切に説明してくれました。下界と山頂では気温差が20度以上あるということ、強風が吹いているので体感温度では氷点下になるということ…などです。

しかし、そこまでは良かったのですが、その後は完全に防寒着のリースの営業でした。

たしかに、防寒着をリーズナブルなお値段で貸してくれるのは良心的なのですが、なんか説明の仕方が完全に営業なんですよね。

その後もおみやげの宣伝がつづき、ふと食堂にあるポットを見ると「お茶1杯100円」の文字が。1杯? 100円?

そりゃあ、お茶を沸かすのに燃料だって必要ですよ。わかります。けれど、湯飲み茶碗1杯で100円とはいかがなものでしょうか。

私は自分でアルコールストーブを持ってたので自分でお茶を沸かしましたが、1杯100円は暴利ではないかと…。何も知らない素人からお金を巻き上げているような印象を受けました。

また、小屋のなかは見渡す限り広告にあふれています。耳栓200円とか。そうですね、あると便利です。しかし、それより小屋がするべきことは富士山の自然のこととか、文化を伝えることではないでしょうか。

お客さんとたくさん話す機会があるはずなのに、口を開ければ「これを買え、あれを買え」です。もっと本質的な仕事はできないのでしょうか。

その他、それなりの利用料を支払っているのにも関わらず、トイレチップは宿泊客も必須でした。

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Photo by Karolina Grabowska on Pexels.com

まあ、理解はできます。トイレだってお金かかりますから。しかし、宿泊費にはそういうのも通常は含めるべきではないでしょうか。

たしかに、トイレに何度も行く人もいればそうでない人もいます。けど、その辺の平均をとって値段を決めるものではないでしょうか。使えば使うほどお金がかかるのは、不便ですし心情にもよろしくないのではないかと。

もちろん、トイレはチップ必要でしょう、と思う人もいるかもしれませんし、正論ではあります。しかし、とりすぎだと思います。

というのも、富士山のトイレよりもっと環境によくて、しかもヘリを使わないといけないトイレのある山小屋はたくさんあるんです。けど、そういう山小屋はそんなにトイレチップもらいませんし、なかには完全に寄付金で成り立っているところだってあります。

富士山はヘリでなくてキャタピラ車で小屋まで上がれます。ランニングコストは他の山小屋より安いのではないでしょうか。お客さんだってけた違いの量ですし。

ちなみに、トイレチップは200円です。山頂のトイレは300円でした。運悪くお腹壊した人はどうすればいいのでしょう…。

3、態度の悪いガイドが嫌だ

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

最初に断っておきますが、私は基本的に山のガイドは苦手です。今まで出会ったほとんどのガイドが傍若無人だったからです。皆、少々態度が大きいのです。生まれたときからその山にずっと住んでいるとでもいうかのように…。

富士山もその例外ではないらしく、大変がっかりしたものです。

いよいよ富士登山開始という段になって、記念撮影をしているときのことです。ツアー登山のお客さんがやってきました。ガイドさんは高山病の予防方法や歩き方、マナーなどについてお客さん指導していました。そこで耳に入ってきた言葉が不愉快でした。

「最近はマナーの悪い外国人が多くて困る。まあ言葉が通じないからしょうがないんだけど。」

彼は、目の前に外国人がいることに気付いていないようです。たしかに、言葉があまりにも不自由な人が来ると大変なこともあるかもしれません。

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由
Photo by Nina Uhlíková on Pexels.com

でも、あなたたちは富士山をどうしても世界遺産にしたかった人たちではないでしょうか? 昔から観光客の多い山です。世界遺産になればよけい世界中からお客さんがやってきます。

そうしてお金儲けがしたかったんだと思います。だったら当然、外国の方にもわかるような案内をするべきだし、そこで働いているガイドなら最低限の英語や中国語、韓国語で注意できるくらいになるべきです。

それがガイドの仕事ではないでしょうか。でも、みんなそれをしたがらないようです。基本的に、ガイドはお金を払っていない人は彼らにとってお客さんでもなんでもないからです。

お金を払っている人には本当に親切です。しかし、お金を払っていない人が、ガイドにちょっと道を聞くと大変残念な態度をとります。

目は合わせないし、敬語を使わないのはまあ百歩譲ったとしても、ひどく機嫌の悪そうな言い方で「そこ、登る、右」などと単語だけで返されたときは驚愕しました。

ガイドって、その山が好きだからガイドしているんじゃないでしょうか。だったら、その山に来る人全員が大切なお客さんですから、とうぜん丁寧に接するはずです。

少なくとも、私はそうしますし、施設で接客業をやった経験のある人なら誰でもわかりると思います。そこに来る人が自分のお店のお客さんでなくても、その施設に来る人は全員お客さんと考えて丁寧に接しているはずです。

もちろん、世の中には素晴らしいガイドさんもいらっしゃることでしょう。しかし残念ながら私はいまだにであったことがありません。まあ、お金を払えば出会えるのでしょうが…。

しかし、自然は誰に対しても公平な場所なので、私はそれを売り物にすることに抵抗を感じています。だから、この先も私はガイドを頼むことはないでしょう。

多くの態度の悪いガイドのせいで、良いガイドも、「ガイド=態度が悪い」という烙印を押されるのです。そう、たった一人のせいで。

もう少し仲間のことや山のことを考えたら…。と思ったけど、お金が欲しいだけなんでしょうか。以上のことは、私に夏の富士山には二度と登りたくないという気持ちを抱かせるのに十分でした。

しかし富士山自体は素晴らしい山です。もし今度行く機会があれば、人気のまばらな時期に行ってみたいと思います。

私が二度と富士山に登りたくない3つの理由

そう、雪をかぶり一つの足跡も付いていないあの冬のように神々しい富士山に…。ちなみに、これだけ文句を言いましたが富士山そのものは素晴らしい山ですし、今回の内容も個人的な感想です。富士登山は楽しかったし、いい思い出になりましたよ!

さて、今回述べたことは同時に、富士山に登るべき理由にもなります。

それについては、↑のエントリでご紹介したいと思います。