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新型コロナを抑制した国は、本当に勝者なのか?

新型コロナを抑制した国は、本当に勝者なのか?

台湾は、新型コロナウイルスの国内新規感染者0の状態が260日続き、2020年6月ごろから世界に先駆けてアフターコロナへと以降しました。しかしながら、2020年の3月ごろから続く事実上の鎖国状態は今でも続いています。

その反動で国内の観光地に大勢の台湾人が訪れ、特にここ澎湖(ポンフー)の観光客数は過去最高を記録し、島内の民宿や観光業者はどこも予約で埋まっているという空前絶後のバブル状態となりました。

ぼくの経営する民宿も2〜5月は前年比マイナス50%以上の売り上げ減だったにも関わらず、結果的に9月末までの時点では昨年より良い営業成績を収めることとなりました。島内に観光客が増えていることは体感していましたが、数字を見てみると今年がいかに異常な年だったのかがよく分かります。

台湾の長い夏もようやく終わり、これからは冬のシーズンに入っていきます。日本をはじめとする世界各国の感染状況には改善は見られず、来年も同じような状態が続くのではないかと予想しています。

そんな折、台湾は正式に国交を結ぶパラオ共和国と密かに提携し、アフターコロナ初の海外旅行解禁に向けて動いています。

パラオは国内での新型コロナウイルス感染者がゼロですが、GDPの4割が観光業のため新型コロナウイルスの影響を間接的に、大きく受けている国です。

2019年には9万人の外国人観光客が訪問し、そのうち約15%にあたる1万5000人が台湾人だったということです。台湾〜パラオ間の海外旅行が解禁されても、これまでとは異なる旅行形態になる(団体旅行のみで個人行動は制限されるとの報道)ため昨年を上回る人数になるのは難しいでしょうが、台湾とパラオの観光業者にとっては多少なりとも救いになるはずです。

パラオは台湾との国交を維持するために中国への空路を撤退させたほど漢気のある国なので、ぜひ台湾と共にこのコロナ禍を戦い抜いて欲しいと思います。

ところで、新型コロナウイルスの感染者がゼロの国は世界で10か国しかないそうです。新規感染者ゼロの状態が100日以上続いている国はもっと多いでしょうが、世界の中心となっているアメリカやヨーロッパではいまだに先行きが見えません。

ワクチンが完成するのかも不透明で、その効果がどれくらいあるのかも分かりません。ワクチンの完成は早くても来春と言われているため、コロナ禍は少なくとも1年以上続くことになるわけですが、どうやら世界はそれまで体力が持たないようです。

日本は、ビジネス目的であれば隔離期間を免除する交渉を各国と開始したそうですから、完全に見切り発車でwithコロナの覚悟を決めつつあると言えます。

では、台湾をはじめとする新型コロナウイルスを抑え付けている国はこれからどうすれば良いのでしょうか?

ワクチンが完成する前に議論しても無駄かもしれませんが、効果的なワクチンが完成しない限りは、やがて台湾もwithコロナの世界に巻き込まれてしまうのではないかと心配しています。

各国がwithコロナを決め込んだら、台湾は江戸時代に黒船が来航した日本のように開国を迫られるような気がしてなりません。

そうなってしまえば、せっかく新規感染者をゼロにしたとしても勝者だとは言えないのかもしれません。

アフターコロナを見据え、大手はその資本を振りかざして中小を淘汰していくでしょう。大手しか生き延びられない世界、お金を持っている人しか生きられない世界、それがwithコロナです。

個人的には、コロナ禍の副産物であるネット技術によって、農山漁村に目が向けられることを期待してはいます。しかしながら、ネットがどんなに発達して、どんな田舎でも暮らせるようになったとは言え、人口減少によってインフラ整備が行き届かなくなったら結局人々は1カ所に集中しなければならなくなります。

技術力やユニークな発想を持った会社や人が埋れていくことや、独特の素晴らしい知恵と歴史を持った農山漁村が無くなっていくことが不安で不安で仕方ありません。

ですが、ぼく達人類には、まだワクチンという希望があります。せめてワクチンの命運が分かるまではなんとかこれ以上感染が広がらないようにするべきではないでしょうか。withコロナも大切ですが、経済を優先してむやみに国境を開いたら何もかもおじゃんになってしまうというものです。

そのためには、一人ひとりが自信を失わないようにすることではないでしょうか。ぼく自身は、今年の年俸は24万円(手取り約10万円)に減額しました。とてもじゃないですが共働きでなかったら生活できません。もっと状況が悪くなっている方が多くいらっしゃることは承知しています。

しかし、今世界中の優秀な頭脳が集まり、新型コロナの治療法とワクチンの開発に全力を注いでいます。それは間違いないです。なぜなら、最初に有効なワクチンを開発した国がアフターコロナの世界を牛耳るですのですから。真剣も真剣です。

世界各国が究極の利益を求めて開発をしているということです。きっと有効なものが生まれます。もしできなかったらそれまでです。その時、地球規模のwithコロナを考えればいいんです。

だから、今ぼくにできることは自信を持つこと、未来に希望を持つことだと思っています。

ところで、コロナ鬱という言葉があります。躁鬱病になると、躁状態には気分がたかぶるそうです。鬱状態になると、もちろん鬱になります。今ぼくはたぶん、躁状態です。